山梨県内の企業の広報活動について紹介する特別企画。
第五週目は、「(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ」様の広報活動についてお話を伺います。
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広報は何年ほど担当されていますか。
鷹野
1999年に入社し、最初に広報を努め、2006年に運営担当に異動した後に、2013年から再び広報を担当するようになりました。
普段はどのような活動を行っていますか。
鷹野
今は二人体制で行っています。一人は現場付きと呼ばれる練習場での選手周りの表立った広報を担当し、私はどちらかと言えば会社にいて日々のプレスリリースや、ポスター、マッチデイプログラムなどの印刷物の作成をしています。あとは現場付き広報と協力しながら各種SNSの発信やラジオ出演、ホームページの更新などを行っています。
「ヴァンフォーレ甲府」という名前を知らない人はいないと言えるほど十分な知名度があると思いますが、その中でも広報活動を行う意味はどのように考えていますか。
鷹野
Jリーグというブランドの中で、広報活動を積極的に行う事で集客につなげ、「山梨を盛り上げることで地域の皆さまが元気になって欲しい」という思いを持ちながらやってます。
しかし、一方でJ3まで含めると全国で50以上のプロサッカークラブがあり、特にJ1のクラブなどはフロント人員の数も多く広報活動がかなり盛んに行われていますので、サポーターの皆様から「他のクラブはこんなことをやってるけど、ヴァンフォーレさんはやらないんですか?」と言われることも多々あります。人員的には厳しいですが、他のクラブさんがやっていてる活動を参考にしたりしながら、我々ができることを今も模索しています。
広報活動をする中でどのような目標を立てていますか。
鷹野
先程の話の中にもありましたが、最終目標は「地元である山梨県を盛り上げる」ということです。
そのためには、お客様に試合を観にきていただくことが一番なのですが、「集客のためにどう魅力を伝えて行いったらいいのか」ということを念頭に置いて広報を行っています。
今回の企画では一般企業の広報活動の取材が多かったのですが、サッカークラブならではの広報活動が何かありますでしょうか。
鷹野
通常の企業と違って、選手に協力してもらってクラブの魅力を伝えられるということは大きいと思います。
今は多くの選手がSNSで情報発信していますので、選手個人が発信している内容をクラブが「いいね」したり、展開することで広く情報を伝えられる時代になりましたので、選手も広報活動の一端を担ってもらっていると思います。
テレビなど各種メディアでヴァンフォーレ甲府の名前を目にしない日はないですが、広告とプレスリリースはどのように分けて活用されていますか。
鷹野
広告に関しては、細かい情報を入れ過ぎてもごちゃごちゃしてしまうので、要点を絞って、見た目でアピールすることを心がけています。プレスリリースは逆に細かい情報も含めて発信するようにしていますが、あくまでマスコミに渡った時に記事にしていただけないと意味がありません。記事にされないようなリリースはマスコミには送らずホームページに掲載するだけなど使い分けに気をつけてはいます。プレスリリースは情報をマスコミに出すと同時に、それをホームページにも掲載し、SNSでも誘導して、という流れで発信し続けています。
ただ、どうしても載せてもらいたい情報がある時は、プレスリリースを出しながら所定のメディアに直接依頼して取り扱ってもらったりしています。
今のお話ですと、やはりプレスリリースもかなり頻繁に出されているということですね。
鷹野
そうですね。例えばホームゲームの時は3日前には「この試合にはこんなイベントがあります。」とかその日に関する注意事項ですとか、バスの時間だったりとか、試合に関する諸々の情報をプレスリリースしています。
一般企業と違って、Jリーグプロサッカークラブですとプレスリリースを出されなかったとしても何かしらの取材が多く来るとは思いますが、プレスリリースで取材に来る場合と相手から来る取材の違いはありますか。
鷹野
試合に関しては、おそらくこちらから情報を出さなくても取材は沢山きていただけるとは思いますので、どちらかというとプレスリリースと言いながらもお客様目線のニュースリリースの意味合いが強いかなとは思います。相手からの取材は、「◯◯選手を取材したい」と問い合わせがあって練習場に来たりというのが多いですね。そういった意味では一般の企業の広報とは考え方が違うかもしれませんね。
確かに違う部分は多いかもしれませんね。
そんな中でも、ヴァンフォーレ甲府自ら発信したい情報というのもあると思いますので、そういう部分では共通項はあるのかなとは思います。
鷹野
そうですね、グッズの販売や、イベントの情報、シーズンシート会員の募集などはこちらから幅広く発信する必要はありますね。新しい選手の入団とか、選手が入籍したというお知らせといった情報もあります。あとは、あまり出したい情報ではないですが選手の怪我に関することなどですね。
お話を聞く中で、かなりの量の情報発信を扱われていることを感じました。
プレスリリース一つ作成するのも大変かと思います。
鷹野
プレスリリースは広報担当者が全部作っているのではなく、それぞれの部署のスタッフが第一段階の素案を作ります。それを広報部所に集約をして、最終的にはわかりやすさを重視して手直ししてから発信しています。その際に、内容に間違いがないかどうかはかなり気をつける点ですね。そして、プレスリリースを出した後はSNSを使って情報を広げることを心がけています。
他に広報活動で心がけていることはありますか。
鷹野
まずは情報収集を欠かさないことです。他のクラブさんの広報はどうしているか、サッカーに限らず例えば野球チームの広報はどんなことをやっているかなどはwebサイトを見て研究してます。社会の動きに関する情報も必要で、注視していないと今出すべき情報の機会を逃してしまうことになります。そして、個人の考えだけではなくクラブの考えを伝えられるように社長や取締役と意識合わせをすることも大事です。後は、若い世代の人たちのコミュニティが常にどんどん進化している状況なので、発信者側も年齢が高いことを理由にSNSなどIT関連の知識を倦厭するのではなく、臆せず飛び込むことを心がけています。
ありがとうございます。
最後に、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく打撃を受けてしまったかとは思いますが、試合も再開する中で、これからに関するメッセージなどをいただけますでしょうか。
鷹野
今年は試合観戦がこれまでのようにできなくなってしまった状況ですが、しっかり対策をして、またみなさんと一緒に盛り上がりたいと思っています。健康を第一に、徐々にこれまでの生活に戻して、共に喜びを分かち合いましょう。
本日はありがとうございました。